瞳孔拡散

 あちこち通院して健康診断など。
 最後に眼科で眼底検査。とくに異常なし。

 眼底スキャン撮影で形成された画像を見せてもらう。
 なるほど、網膜の盲点というのはこういうつくりになっているのか。

 その眼底スキャン撮影に伴い、瞳孔拡散剤を点眼された。
 点眼後10-15分ほどで効果が現れる。その後3時間ほど効果が持続するとのこと。
 瞳孔が拡散すると、写真でいうとレンズの絞りを開ききったにした状態になる。
 友人のブログにあった、瞳孔が拡散するとヒトの眼の光学収差がよく見えてくるという指摘を思い出す。
 明るいものを見ると残像が残りやすくなり、ハロが出やすくなった印象。
 被写界深度が浅くなって、焦点の合う範囲が狭くなり、近くのものも見えにくくなる。
 ピント調整が頻繁になるせいか、なんとなく眼が疲れやすくなる。

 医者によると「15年か20年もしたらこんなふうになりますよ。」とのこと。
 老眼の予行演習と思うと、老人力が一時的に身についた具合で面白い。

 本を読むとき、iPod操作、物を書くとき、「細かい文字」というよりも「文字」そのものが見えなくなる。
 老眼経験のある人たちの助言を思い出し、普段している近眼鏡を外してみると、近くのものがよく見える。
 近眼眼鏡はだいたい1mくらい先に像を形成するので、それを見慣れている近眼鏡使用者はコンタクトレンズ使用者にくらべて老眼への対処がしやすいとかなんとか。
 こういうとき近眼眼鏡使用者は助かる。ともあれ、ここ20年ほど眼鏡の扱いに慣れてきたことは非常に便利。

 さてその近眼鏡を外すとき、いちいち机の上に置くのは面倒くさい。
 グレン・グールド風に額に跳ね上げるか、木村伊兵衛風に顎に引っ掛けるか?
 両方試してみた結果、僕にとっては額に跳ね上げる方がやりやすいと判明。
 15-20年後、この方法で対処しようと思う。

 ヒッチコックの「サイコ」での死者の瞳孔クロースアップ描写の失敗。「瞳孔拡散剤を一滴垂らせばよい」との指摘を受け、「フレンジー」ではその学習が反映される。
 かつて欧州の淑女たちは、瞳キラキラ効果をねらって夜会に出かける前に瞳孔拡散剤を点眼したとか。おしゃれは大変。
 ベス単フード外し、ズミルックス 35/mm F./1.4 、コシナ・ノクトン 25/mm F./0.95 など、開きすぎる絞りの効果。
 等々、そんなことも思い出す。

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 外出したついでに足をのばしてビックカメラ丸善へ。
 帰りの夜道ではジンチョウゲが香っていた。