宮沢賢治の味、宇宙中継、など


【ポットの周辺】

 宮沢賢治の詩集を読んでいる。
 科学的即物描写の具象と宗教的世界観の抽象とがぶつかり合って生じる強いコントラストが、宮沢賢治の作品を貫く味わいを生みだしているに思う。



 深夜、インターネットのNASA TVで、宇宙空間でのソチ五輪トーチリレーの様子の中継動画を見る。ソチ五輪の聖火トーチは、ロボットアニメに出てくるサーベルのような既視感のあるデザインで、宇宙空間映えする。
 ノイズまみれの画像に目を凝らすおもしろさ、あるいはノイズそのものの生み出す偶然の画像を楽しむおもしろさ。技術上必然的なノイズがあることによって、反対にそのノイズを発生させた技術が存在していることを濃密に意識させるという錯覚に酔う。
 そして、このノイズの混じった画像はこの生中継でしか見られないのではないかという思いが浮かぶ。たぶんこのノイズは通信ノイズであって、通信速度に左右されずきちんと録画された画像データはまた別に保存されているのではないか。
 映像の希少さは刻々と失われてゆく時の名残りをかたちにとどめようとする思いに起因するとすれば、そこでは恒久性に富んだ精細な画像により希少性が認められるのか、はたまた一回性をはらんだノイズにまみれた画像により希少性が認められるのか。記録の価値と記憶の価値。

 自動車の自動運転技術のアピールと武器輸出三原則の見直し。福祉ロボットの可能性と無人攻撃兵器開発競争。

 ヌード写真と動植物写真。羞恥心の極大化と極小化。ファウナとフローラ。