身辺雑事
このところ食卓にはたいてい果物が置いてあります。
果物が目につくところにあると、気がついたときに手を伸ばして食べる習慣がついてきました。
そして果物をぼんやりと眺めていると、なかなかおもしろいかたちだなあと思ったりもします。
今日の天気はときおり雲間から陽射しがさす曇り空。
午後になって次第に雲が厚くなってきます。
夜半に雨となりました。
近所の畑のビニールハウスに降りつける雨音がさあさあと聞こえてきます。
枕頭の読書は今日も英国近代怪談。H. R. ウェイクフィールドの怪談集『ゴースト・ハント』を再読。
最後の正統派モダンホラー作家と賞賛されるのも納得の仕上がりの、ひしひしと厳しく芯に迫る恐怖譚。
呪いや地縛霊の存在感の描写には、なんとも確からしく迫ってくる説得力があります。解説によると作者自身、幽霊屋敷に住まった体験があるとか。
怪異の虜になってこの世の掟から外れてゆく登場人物を、内側から描いた怪談の好きな傾向が僕にはありますが、そんな嗜好を満足させてくれる作品が多い本でもあります。
とはいえ恐怖に酔いしれるばかりではなく、短い作品の端々に散りばめられたすました調子の辛辣な皮肉や警句の切れ味にもこの作家の魅力はひそんでいて、これがなかなかにピリッとした薬味を効かせてくれています。
- 作者: H・R・ウェイクフィールド,鈴木克昌ほか
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2012/06/28
- メディア: 文庫
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