【深夜のケヤキ群】


 思いのほか、侵蝕している。

ほんのちょっと元気を出せば、彼も服を着替えて出かけてゆく決心がついたにちがいない。だが、その元気が湧いてこなかった。 彼のなかでなにかが挫けてしまったのだ。だから、なにをもってしようと、彼の気分を変えることはできなかったろう。
  トーマス・オーウェン「変容」

宮本は集会では必ず、「ものほしげな観光をするな。重要なことは地域振興に直結する産業の基盤をつくることだ」といっていたという。
  佐野眞一宮本常一が見た日本』