広島
原爆ドーム脇の原民喜詩碑、背面の碑文は佐藤春夫による。
はじめ広島城近くに建立されたが、子どもらの石投げ遊びの格好の標的となり破損。現在の場所に移設修復された。
原民喜の短詩「碑銘」の美しさもさることながら、佐藤春夫が亡き友に捧げた碑文も名文。
その簡素で端正な碑の造りとともに、とても好きな文学碑。
平和公園レストハウスの地下室を観覧。
被爆の瞬間、この地下室にたまたま書類を取りに行って、奇跡的に爆心地唯一の生存者となった人がいたという。
この建物は大正屋呉服店として建設され、被爆当時は接収されて燃料配給統制組合ビルとして用いられていた。
爆心地からわずか170mの距離に位置しているにもかかわらず、建物骨格は大破を免れ、補修を重ねながら今日まで用いられている被爆建築。
それでも地下室だけは、ほぼ被爆当時のまま保存されている。
そして平和記念資料館へ。
佐々木禎子さんの折り鶴の実物の、かそけき美しさと、なによりその小ささに驚く。
折り紙が高くて手に入らず、薬を包んでいた半透明の色セロファンで折り鶴を折っていたとは聞いていたが、それがここまで小さかったとは。
最晩年には、縫い針の先を使って、小さな小さなセロファンの折り鶴を折ることもあったそうだ。
折り鶴を通したメッセージは、そのフラジャイリティ(弱さ、はかなさ、微かさ)にこそ真実を宿しえたのだと実感。
展示された物証を、体験を、歴史を、時間を、ひとつひとつと読んでいくうちに、いつしか18時の閉館時間をむかえる。
広島バスセンターから、22:00発名古屋行きの夜行バス、セレナーデ号に乗る。
平和記念資料館にて
・山口勇子・作、四国五郎・絵『おこりじぞう』(新日本出版社)
・こうの史代『夕凪の街 桜の国』(双葉社)
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土産として
・賀茂鶴「白壁の郷」
・広島菜古漬け
・せんじがら (ラードの出しがらの豚モツ)