日常に夢を見るための方法 私は他者である

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 丸善にて書籍購入
 『マヌエル・アルバレス・ブラボ写真集 メキシコの幻想と光』
 那須正幹『ぼくらはズッコケ探偵団』


日常に夢を見るための方法

 日常と空想という水と油の間柄にある、確からしさと荒唐無稽さとの界面を活性化して、混ぜ合わせ乳化させる夢の力。
 桃の皮のような肌触りをして、影のように束の間の生を生きる、幻獣ア・バオア・クーのように。 
 それは虚実皮膜の接触面の、かそけき極薄さ(アンフラ・マンス)の中に、夢は力強く息づいている。
 微かな力でさりげなく、確信に満ちた遊び心をもって、はたらきかける。

 「私は他者である」とはフランスの幻視作家ジェラール・ド・ネルヴァルの言葉。
 ブラボにより引用された言葉として、写真集に挿入されている (p. 180) 。
 写真とは、外にいる私を呼び寄せてくれる媒体である。
 外に在る確からしさと、内に在る荒唐無稽との界面活性剤。

 たとえば即物的な遊び心にあふれた写真行為。
 たとえば推理小説仕立てのジュブナイル


マヌエル・アルバレス・ブラボ (1902. 2. 4. メキシコシティ〜2002. 10. 19. メキシコシティ
 メキシコの写真家。即物的な対象に謎めいた詩情をまとわせる、幻想的で遊び心に満ちた作品を数多く生み出した。
 ストレート・フォトへの目覚め、メキシコ・ルネサンスの時代、シュルレアリスムへの接近、写真と言葉とのイメージの交錯、マジックリアリズム的手法、ラテンアメリカの芸術家・文学者らとの交遊などが、百年にわたる彼の人生を彩る。

 ちなみに名古屋市立美術館では、フリーダ・カーロディエゴ・リベラら、1910年のメキシコ革命を契機としたメキシコ・ルネサンス期の美術作品の継続的収集を行なっており、ブラボの作品も収蔵されていて、所蔵品展示で観覧できるときがある。

マヌエル・アルバレス・ブラボ写真集 メキシコの幻想と光

マヌエル・アルバレス・ブラボ写真集 メキシコの幻想と光

 那須正幹『ぼくらはズッコケ探偵団』は、僕が初めて読んだズッコケ三人組シリーズ(たしか小学2年生のときのこと)の記念すべき一冊。
 ズッコケ三人組シリーズ第2作目(1979年発表)。長編書き下ろしシリーズ化第一作である。

ぼくらはズッコケ探偵団 (ポプラ社文庫―ズッコケ文庫)

ぼくらはズッコケ探偵団 (ポプラ社文庫―ズッコケ文庫)