マーゴン迷走

 自転車の早こぎか、マラソンランナーくらいの速度。約20km/h。
 台風マーゴン(アジア共通名称、日本名台風6号)は、ゆるゆると日本近海を迷走して、各地を脅かしています。

 関東沿岸地方では昼間は降ったり止んだり、嵐の前触れのような風が、荒い息をくり返していました。
 地形の問題か内陸部では、いっとき大雨洪水警報も発令されたようです。

 とはいえここ千葉県内湾沿岸部では、夜になるとときおり雨がぱらぱらとするくらいの天気でした。
 嵐の前の静けさか、それとも迷走する台風が彼方に去ってしまったのか。テレビやネットの天気予報を見ているばかりでは、よくわかりません。
 このところ蒸し暑い熱帯夜が続いていましたが、北から回り込む強い風のおかげか、空気が入れ替わったように涼しい夜です。
 あたかも暦通りに、夏が去りつつあるかのような。


 来信多数、メールのやりとり。
 その場をとりもったり、ことさらにけなしたり。
 侃々諤々(カンカンガクガク)。すなわち、はばかることなく正論を堂々と主張するさま。
 雨降って地固まる。ケンカしてもまたやりなおせるだけの強い結束を目指して。

「作品を印刷に付さないことの弊害は、それが人生において繰り返されることである」
 ボルヘスがそのエッセイ集『論議』のプロローグに引いた、アルフォンソ・レイエスの言葉。
(いま手元にその書物がないので、引用が不正確だったかもしれません)


 とりあえず雨がおさまったのをよいことに、自転車をこいで閉店間際の買い物に出かけました。
 気持ちが焦っていたのか忘れ物をしてしまい、行ったり来たり。いい運動になりました。
 帰宅後また、メールを受けての思案続行。

 行き当たりばったりの返信や、無闇な即断即決では、事態を混乱させるばかり。
 ここはひとつ、深呼吸する余裕を持って、落ち着いて責任ある決めの一言を、と思うのですが。
 なかなかその決めの一言が発せません。
 なんだかんだと時間ばかりが過ぎてしまい、夜は更けていきます。


 夜が明けたら京都へ。
 決断を先延ばしにする都合上、ノートパソコンをかついで行くことにします。