スペースレンズ

 アメリカでロケット「アンタレス」が打ち上げ直後に爆発したとのテレビニュースを見る。

 爆発したロケットには千葉工業大学による国際宇宙ステーションでの流星観測計画の実験機器が搭載されていたとのこと。その観測カメラに機械としての興味がわく。愛想の無い外観でただの黒い箱のようなカメラ部に、意外にも見覚えのある民生品レンズがくっついている。レンズ部はマイクロフォーサーズ用のコシナフォクトレンダー・ノクトン17.5mmにレイノックスHD-7000PROと思しき×0.7ワイドコンバーターをフロントに装着されている。
 素人の感覚として身近な民生品が宇宙観測計画に用いられることと感心する。もっとも、一口に宇宙観測といってもいろんな種類があるし、予算の要請もあるだろうし、現場としては意外でも何でもない当然の選択をしたにすぎないのだろうけれど。

 とはいえ、写真撮影にコシナフォクトレンダーの兄弟レンズ、ノクトン25mm F0.95を常用している者としては、それだけで宇宙的感覚の写真が撮れそうな楽しい錯覚が味わえる。
 たしか田中長徳氏がどこかで書いていた。宇宙計画に使用された(ものと同機種の)スペースカメラを使っていると、散歩写真を撮っていても(この地球上も宇宙の一部なのだから)これみな宇宙写真であると思われてくるのだとか云々。

 スペースカメラを持たない僕も、この愉快な論法を思い出しては普通のカメラを持って散歩しながら宇宙写真を撮影する。そしてこのたび、スペースレンズに近いところのレンズを所有していることになり、想像もふくらむわけである。

追記
 千葉工大の流星観測計画は、予備機として用意してあったもう一組の観測機器をあらためて打ち上げるべく、継続して準備・調整中とのこと。


千葉工業大学 惑星探査研究センター(PERC) ISS流星観測プロジェクト
http://www.perc.it-chiba.ac.jp/iss/index.html


↑ 千葉工大の流星観測計画に使用されるノクトン17.5mm f.0.95

↑ 僕が普段使いしているノクトン25mm f.0.95