大須、伏見「大甚」


大須観音

 名古屋にて友人のEさんと会う。
 大須観音で待ち合わせ。

 大須にある小さなギャラリー「プシュケ」にてイナガキユタカ、長谷川賀Q写真展。
 写真を撮るとき、被写体の人物との距離感、そこで会話するときのような空気感を撮りおさめることができるかどうかが肝要に思う。
 あれこれとおしゃべりしながら時間を過ごしているうちに、イナガキさんのモデルであるSさんも来郎。その場で写真を撮らせてもらう。
 キャンディットフォトではなく正面切ってカメラを構えてみるものの、Sさんの視線に気圧されてしまった感じ。
 とはいえファインダーをのぞきながら、こんなモデルとカメラマンとの綱引きが人物写真のおもしろさなのかと思う。

 「プシュケ」を後にしてEさんと大須の道筋を歩き、大須の写真ラボ「レインルーツ」に。Eさんが頼んでいた写真のプリントの受け取り。
 「レインルーツ」の狭い店内にはカラーフィルムの自動現像機の発する熱気がこもっている。若い主人がプリント作業の手を止めて会計をする。
 店内にはあれこれとフィルムカメラが壁にぶら下がり、あるいは棚に並び、カウンターの脇にはパターソンの現像タンクが置いてある。
 Eさんはここのプリントの調子がお気に入りだそうで、しばしばプリントを依頼しているとのこと。

 大須から矢場町そして科学館の前を横切って、伏見の交差点角にある居酒屋「大甚」へ。
 店に入ったのは6時少し前。店内は混み合っている。とはいえ気のおけない雰囲気でふしぎとくつろげるお店。目玉の賀茂鶴樽酒を飲みながら酒の肴をつつく。
 大根の浅漬け、百合根、タコの煮物、茹でたシャコ、鯛の刺身、アジの塩焼き
 このお店は棚に並んでいる酒の肴を各々勝手に取ってきては酒を飲み(焼き魚・煮魚・鍋のたぐいは別に注文)、後から会計係がお皿の数を見て勘定する方式。
 食べたいとき飲みたいときに待ち時間なく品物が並ぶわけで、自分の調子で酒と肴を存分に楽しめるのがとてもよろしい。
 7時くらいになると客足が一段落してきて、棚に並んでいる酒の肴も少なくなってくる。
 頃合いを見てお会計をお願いすると、名物のソロバン勘定でパチパチとはじき出された値段もお値打ちだった。
 酒も肴も美味しく、店の雰囲気も楽しみつつ実にいい気分に酔って、名駅でEさんと別れて帰る。