TOKYO PHOTO 5、MOTOYA


【芝・増上寺/半開きの扉】

TOKYO PHOTO 5 (芝・増上寺

 芝・増上寺境内のホールにて開催のTOKYO PHOTO 5を観覧。

 ジャック・ケルアック「ON THE ROAD」のアニバーサリーイヤーか、出展ギャラリーの取扱い品目にも旅の写真、路傍写真が目についた。それからウィリアム・クラインやその同時代作家(アヴェドン、カルティエブレッソン、アーウィット、その他)といった20世紀後半の ”写真らしい” 写真作品、とくにファッション写真が多かったように思う。主観的で大雑把な印象ながら。

 特集展示として、ウィリアム・クラインの「東京」、および東松照明追悼作品展。
 またテートモダンギャラリーのサイモン・ベイカー氏によるテーマ展示「車窓からの眺め」。
 そして「日中 未来の子ども 100人の写真展覧会」も会場内にて展覧される。

  「日中 未来の子ども 100人の写真展覧会」は、日本と中国で部屋とともに写された、子どもたちのポートレイトと短いインタビューの言葉による展示。上海・北京・福岡・東京の四都市巡回展だとか。
 各地担当計6名の写真家による合同プロジェクトの展示であるが、日本の子どもたちの撮影を担当しているのは今村拓馬。彼は子どもたちのポートレイトをここ十数年継続して撮影し続けてきている若手気鋭の写真家である。
 今村による子どもたちの写真には、ぼけっと気を抜いた感じで普段着の子どもの姿が正方形の画面のなかに定着されている。
 インタビューの文言も味わい深い作品の一部だが、「何になりたい」「どの教科が好きか」といった目的志向的な問いかけをはずし、アトランダムに撮影時の気分を反映した子どもたちの言葉を拾い上げているのがおもしろい。オトナの「仕事」よりも、今村の視線の先にあるような子どもの「遊び」に文化の源泉を思う。
 ただ、キャプションに撮影年の表示が見当たらなかったのが物足りなかった(僕の見落としかも)。僕はこうした作品を観るときに撮影年の表記があると、記録性の面での興味が膨らんでおもしろいと思う。

 ギャラリー出展作品としては、ヘルス・エンジェルス取材写真(6×6判、ローライフレックスによる)などハンター・S・トンプソンが撮影した写真群がおもしろかった。
 そして、アムステルダムの夜の水上都市風景をフラッシュを焚いて撮影したモノクロ作品を展示していたオランダ? の写真家の作品や、尖塔のごとく家財道具を山積みにしたさまざまな自動車のカラー作品を展示していたドイツ? の写真家の作品「Cathedrale Cars」(キャプションが見当たらず被写体の意味を確かめていなかった。自動車の車種はくたびれたフランス車が多い。移民なのか、ヴァカンスに出かけるところなのか。撮影のために作られたものではないように思うのだけれど)などに興味を覚えた。

 ちょっとしたまなざしの妙やら流行りの気分やらを気取っただけの着飾った写真をどうも受けとめられない気分がまだ続いている。
 新旧問わずぶっきらぼうに被写体に体当たりしたような、ただそこに見たいものがあったから撮りましたと言わんばかりの写真がさらす、鮮やかな刺身のような切り口に感興を覚える。


MOTOYA(代々木八幡/初台)

 クロージングパーティ
 「もうひとつの Book Fair 」会計・搬出


代々木八幡の駅前でラーメン屋に入る
二人連れの外国人客が片言でラーメンを注文している