アンドレアス・グルスキー展、アメリカン・ポップ・アート展


国立新美術館

 国立新美術館にて、アンドレアス・グルスキー展とアメリカンポップアート展とを観覧。
 ひさしぶりの東京都心の六本木。歩いている人々のスタイルに隔世の感すらおぼえる。

アンドレアス・グルスキー展のメモ
 圧倒的に立ち現れる雑多なイメージが恣意的な分類法によってエレメントごとに配列されていた印象。
 何らかの分類法がそこにある。ベッヒャーほど画一的ではない、むしろザンダーに近い不完全さを帯びた分類法。
 この会場構成は、ヨーロッパ中世におけるマニエリスムの結実としての「驚異の部屋」の趣向がなぞられているのではなかろうか。 そんなマニエリスム的な解釈を思いついて、何度か会場を行き来して象徴的なエレメントの推論と理解とを試みる。
 展示の最後を飾るのはファッションショーの写真。そこに写るキャットウォークを闊歩するファッションモデル達を見ているうちに、なぜだかスフィンクスのイメージが頭に浮かんできて重なり合う。
 この展示の骨格をなすものはスフィンクスの謎かけだったのかもしれない。スフィンクスがテーベの人々に投げかけたなぞなぞの答えは「人間」だった。

アメリカン・ポップ・アート展のメモ
 北井氏が青年期に影響を受けたというジャスパー・ジョーンズの作品に向き合いたいと思っていた。
 ジョーンズ作品を鑑賞しながら、北井氏が受けた影響というのは何だったのだろうと考える。それは、画面の上で対象の質感とはまた別の質感が生成されうること、対象によらず画面のうえでの存在感こそが作品を成立させるということの発見だったのかもしれない。
 ジョーンズのみならずウォーホル、リキテンスタインら、アメリカン・ポップ・アートを代表する作家が一堂に会することができたのは、アメリカン・ポップ・アートのコレクターであるパワーズ夫妻の業績ゆえであるらしい。
 ロイ・リキテンスタインの好んだ「オール・アメリカン・ガール」の少女像
 アンディ・ウォーホルの「電気椅子」のヴァリエーションのなかに用いられていた色彩のコンビネーション。臙脂色と紺色。
 トム・ウィッセルマンのヌードのモデルの真正面にこちらに向けられた唇。