【染みの目立つ花】


 今年の百合はきたないと母が言っている。

要するに、1650年代のヨーロッパの世界=経済とは、上は、オランダの社会のように、すでに資本主義的であった社会から、一番下の段階には、農奴制社会、奴隷制社会までが揃った、社会の併存、共存に他ならなかったのだ。この同時性、この共時性に、すべての問題がかかっている。実際、資本主義は、こうした規則的な段階制を糧として成長するのであり、外側の地帯が、中間地帯を、とりわけ中心地帯を養うのである。建物全体の頂点、資本主義という上部構造以外に、中心があり得ようか? 中心が食料の供給を周辺に依存し、周辺は、中心に支配されながら、中心の需要に依存するという、相互性の構造が見える。
  F. ブローデル『歴史入門』(金塚貞文 訳)

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