金色堂異聞

 最近、中尊寺金色堂ユネスコ世界遺産になったとか。
 そんなニュースが頭の端に滴って、奥州岩手への親しみが蘇る。
 そして、澁澤龍彦の短編小説「金色堂異聞」を読み返したくなった。

 時代の狭間 中間管理職 語られなかった歴史 皮肉な結末 自己幻視 自他境界線

 短編集『唐草物語』を久しぶりにひもとく。
 それぞれの短編にそれぞれの下敷きを有する、再話形式短編集。
 昔はさっぱりわからなかった本歌取りの妙も、元ネタ知識も増えてきて、楽しく読めるようになった。

 ああ、なるほど、そういうことか。
 ミニアチュール、縮小された世界、世界の模像。
 くり返し奏でられるライトモチーフが、今にしてくっきりと浮かび上がってくる。

 これまではよくわからなかったけど、今回おもしろく読んだ話の中に、花山法皇安倍晴明の話がある。
 稀代のアンファン・テリブルと作中で形容されていた花山法皇の足跡を、いつか京都・山科に訪ねてみたいと思う。

唐草物語 (河出文庫―渋沢龍彦コレクション)

唐草物語 (河出文庫―渋沢龍彦コレクション)