三冊の漫画

 漫画が読みたくなって、久しぶりにときわ書房本八幡店に。
 ここは漫画の目利きのいる書店として、ご近所の写真家Kさんに教えてもらったお店。

 漫画本を3冊購入。今回もいい漫画を見つけることができた。
 どれも半年も前に出たものばかりだけど。

山本直樹『レッド』第5巻(講談社
 読み続けてる。山本直樹だし。
 登場人物たちの、喧しいわりに無力な、学生サークル的タコツボ状況の滑稽さが浮かび上がってきた。
 語り口の単調さは最近の山本直樹の意図的な傾向か。
 『堀田』しかり、作者は自身の漫画作品を文芸物語よりも数式に近づけようとしてるのかも知れない。

野村宗弘『そう言やのカナ』第1巻(日本文芸社
 広島弁萌え。
 名古屋弁圏(濃尾地方)の西隣りは広島じゃな。
 曖昧母音の残存率の高さゆえか、方言の飛び地的親近感が湧く。
 古代の山岳縄文民族系中つ国を、関西弁と瀬戸内弁が言語的に東西に分断したんじゃなかろうか?
 ともあれ、広島のナラティブはぶち優しいんよ。
 マリッジブルーを描いた併録作「十ヶ所くらいの穴」もよかった。
 その漫画配信サイトの原稿を書籍化する手法にも技術的関心を抱く。

松本次郎『地獄のアリス』第1巻(集英社
 思わぬ拾い物。おすすめ書棚に並んでた最後の一冊。
 マッドマックスシリーズを彷彿とさせる文明崩壊後の荒野と、都市の廃墟、そして点在するコミューンが舞台。
 子どもじみた闇雲な暴力の応酬に決着をつけ、新しい大人として生きた政治に挑戦しつつある人々を描く。
 その物語構想の大きさと、錯綜した細部を描ききる筆致とが素晴らしい。
 混乱した世界しか知らずに育った子どもたちの心象と、彼らの今後を具体的に構築してゆこうとする主題に、同時代的な関心が沸く。
 それはそれとして、銃器・兵器描写にも充足。
 狙撃銃を中指トリガーすることもあるんだね。人差し指でブレを抑えられるわけか。カメラでもたまに中指レリーズすることがある。とくにローライフレックス
 バイポッドにストラップを引っ掛けて、ショルダーストックを左手で右胸に引きつける座射の姿勢もなるほど。動く標的に対して姿勢を崩さず素早い挙動ができる。
 とかなんとか、カメラの構え方のヒントを探しつつ見入る。

レッド(5) (KCデラックス)

レッド(5) (KCデラックス)

そう言やのカナ 1巻 (ニチブンコミックス)

そう言やのカナ 1巻 (ニチブンコミックス)

地獄のアリス 1 (愛蔵版コミックス)

地獄のアリス 1 (愛蔵版コミックス)